司祭 パウロ 鈴木 伸明
●日本聖公会における聖歌集のあゆみ●
日本聖公会聖歌集の冒頭部分に、「日本聖公会における聖歌集のあゆみ」が記されています。日頃あまりご覧いただく機会がないのではと思いますが、ご一読いただけましたら幸いです。
ここに記されておりますように日本における聖公会の宣教は、1859年に米国聖公会から派遣されたC・M・ウイリアムズ師を初めとして、1873年には3つのミッションによって展開されることになります。そして日本における聖公会の聖歌集は、この3つのミッションによって編纂されることになりました。
1874年、英国聖公会「教会伝道協会(C・M・S)」が『たゝえのうた』を出版します。この『たゝえのうた』は、5年後に増補版が出版されることになりました。
次いで1876年、英国聖公会福音伝播教会(S・P・G)が『使徒公会の歌』を出版します。
さらに1883年米国聖公会ミッションによって『聖公会歌集』が出版されました。
日本における宣教団体は、それぞれ分担地域を決めて活動を行っていましたので、これらの聖歌集もそれぞれの宣教団体担当地域で用いられていたと思われます。
1887年に日本聖公会組織が成立し、それに合わせて統一した聖歌集が求められることになりました。統一した聖歌集は15年の後、412曲の聖歌と詩頌を収録した『古今聖歌集』として出版されました。古今聖歌集という名前も、この時用いられたのが始まりとなります。
1922年、530曲の聖歌と多数の詩頌曲譜を収録した『改訂古今聖歌集』が出版されます。この聖歌集の配列は、現在の聖歌集と基本的に共通しており、以後の聖歌集に大きな影響を与える存在となりました。
前回の聖歌集改訂は1959年、日本聖公会宣教100周年の記念すべき年に祈祷書と共に行われました。しかし祈祷書・古今聖歌集が出来上がったけれども費用をねん出することができず印刷発行が出来ませんでした。そのような中、1958年、カナダ聖公会聖書祈祷書協会より、同協会の創立60周年および日本聖公会宣教百年を記念して多額の寄付の申し出があり、祈祷書および古今聖歌集が印刷発行できることになったのです。この古今聖歌集は、2006年まで47年にわたり、私たちの信仰生活を支える存在となりました。
2006年の聖歌集改訂は、現在の口語祈祷書発行に伴い、必然的に行われることになったものです。次回は現行聖歌集の改訂基本方針等についてお話しいたします。